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●ガイドライン ロッドにマッチするパワーテーパーの選び方  2008.10

 パワーテーパーシューティングヘッドは、スペイキャスティングとオーバーヘッドキャスティングの両方に対応する、より実釣に向いたフライラインです。力強くスムーズなターンオーバー性と、鋭いループの作りやすさが多くのユーザーから評価されています。このパワーテーパーシューティングヘッドは、末端をカットすることで自在に長さを調整する事ができます。それによる無限とも言える長さと重さのバリエーションは、選ぶこと自体が楽しみの一つということが言えます。しかし同時に難解な問題でも有ります。私達は想像できる範囲で、慎重に最善の方法で試し、理想の長さと重さを見つけなければなりません。ツーハンドロッドのバット部分に表記されているラインウェイトには、通常のフライラインウェイト表示とスペイラインウェイト表示のものが混在しており、混乱に拍車をかけています。暗中模索の中、多くのユーザーから「このロッドにベストマッチのパワーテーパーの重さと長さを教えてほしい」という質問をいただきます。私達はそのような質問に対して、ベストマッチのラインを見つけることは、メーカーの立場からは非常に難しいと説明する事から始めます。

 理由は複数の要因から考えられます。例えば、対象魚、使用するフライ、使用する状況、水深、流れの有無、シンキングかフローティングかシンクティップか、ウェーディングの有無、キャスティングスタイル、キャスティングスキル、キャスティングストローク等、他にも様々な要因でベストマッチのラインは変わります。それは釣人それぞれに理想のラインの重さと長さがあり、絶対のバランスは存在しないと言うことができます。また、末端に接続するランニングライン(シューティングライン)の材質やそれに伴う性質を考慮すると、組み合わせは膨大になります。 ロッドとパワーテーパーのマッチングを探す際に、最も分りやすい例として、ガイドライン社が推奨するスカンジナビア地方の考えや、推奨されているパワーテーパーのカット方法が、カタログとホームページのPOWER TAPER LINE CUSTOMIZEでご覧いただけます。また、ガイドライン社が推奨するロッドに対してのパワーテーパーの重さと長さについては、POWER TAPER CUTTING CHARTにて参照することが出来ます。まずはこれらを参考にすることで、理想のラインに近づくことができるでしょう。

 スカンジナビア地方では、パワーテーパーをキャスティングする場合、一般的にファーストテーパー・ファーストアクションのロッドが使用されていますが、当社が日本でガイドラインの販売を始めるとすぐに、全国各地の熱心なアングラーにより、様々なアクションのロッドで多用なキャスティングスタイルが試されることになりました。最大の収穫の1つとして、今まで使用していたロッドで、既存の一般的なスペイラインよりも、簡単に飛距離を得られるようになったことや、オーバーヘッドとスペイキャストの両方が同じラインで出来るようになった事等が挙げられます。それは今までスペイキャスティングを敬遠していたオーバーヘッドキャスターが、スペイキャスティングを見直すきっかけともなりました。このように、スカンジナビア地方で生まれたパワーテーパーは、日本のアングラーにより試され、この土地に馴染もうとしています。その試行錯誤は現在も続いており、今後も各地方で、その地域独特の釣りに、もっとマッチしたラインレシピが見つかって行くことでしょう。

 以下に日本で使用されている、パワーテーパーのマッチングの一部をご紹介致します。 一般的なスペイキャスティングを主体に開発されているロッドの多くは、一般的に15m以上のベリーをもつフライラインと水の抵抗に耐えるように設計されています。このようなトルクとしなやかさを併せ持つロッドでパワーテーパーを使用する場合、一般的なスペイキャストのケースではロッドの指定番手と同じ重量のダブルハンド用13.5mが、カットされずにそのまま使用されることが多いようです。様々なシンクレートのパワーテーパーを使用することが出来るようになり、様々な水深を探る釣りが可能になります。バックスペースが限られた場合や、深くウェーディングする場合、ラインウェイトを上げて末端をすこしカットすることで対応できるでしょう。ただし、ロッドの長さに対してラインが短くなればアンカー切れが多くなり、危険な場合があります。これにはリーダーを15ftに長くする事や、コンパクトで抵抗の有るフライを用いる等でアンカー切れを軽減し、安全にキャストする工夫と練習が必要です。 ラインウェイトが#6前後のライトツーハンドロッドには、シングルハンド用のパワーテーパーが使用されています。カットせず、そのままの長さで使用することで、繊細な釣りを楽しむ事ができます。スカンジナビア地方やアメリカでデザインされた、モダン・ツーハンドロッドには、パワーテーパーダブルハンド用を10m〜12m前後にカットして使用することが推奨されています。パワーテーパーを短く使う場合、ロッドの指定番手の1つ上を使います。長く使う場合、ロッドの指定番手を選びます。(基本的なマッチングチャートがガイドラインのカタログとHPに掲載されています) 短く重いシューティングヘッドは、キャストとピックアップが容易なので最小限のパワーでキャストする事が出来ます。そしてロッドハンドの下手を主体に使い、コンパクトなモーションでキャストします。様々なシンクレートや、同じシンクレートでも長さの異なるパワーテーパーを複数持ち歩く事で、様々な状況に対応する事ができます。スカンジナビア地方では、釣り場の状況にあわせて頻繁にパワーテーパーをカットし、セッティングを変更することもよくあります。

近年、日本で行われている、止水域でのシューティングスペイでは、まず使用するロッドを確認します。そのロッドが、日本で盛んなオーバーヘッドのシューティングヘッドを用いたキャストを主体に開発された極端なファーストテーパーのロッドの場合、ロッドのバット部分には通常のラインウェイトの表示がされている場合が多い為、一般的に#8のロッドでは#7/8のシングルハンド用11.5mで、フローティング・シンクティップ・HOV/INT・INT/S1・DDCコネクト等のシンクレートの浅いパワーテーパーを使用することが増えています。

アンカー切れを軽減するために先端の約4m部分をシンクレートの早いラインに交換して使用する場合も見られます。 感覚的な言い回しになりますが、ラインに対してロッドのパワーが勝っている状態であることが、最終的にラインを遠投するために重要になります。ただしキャストは難しく、遠投するためにはロッドに適正な負荷をかける高い技術が必要です。オーバーヘッドキャストのようなループを長距離で保つためには、比較的軽いラインが飛行中の落下が軽減するため有効ですが、軽いラインでロッドに適正な負荷をかけるためには、水面の抵抗や、持続的なロッドの曲り等を最大限に利用してキャストする必要があります。軽いラインには、キャスト後の着水音を軽減するので、魚に対してのプレッシャーを軽減するメリットもあります。キャストの際はペリーポークが多く用いられます。その際、水面からラインを剥がす時に起こりやすい、アンカー切れに注意してください。これはフライが自分に向かい飛んでくる場合があり大変危険です。安全なキャストのために、釣り場以外でフライを外した練習を充分に試す事をおすすめ致します。キャスティングに慣れると、''タッチアンドゴー''のキャストもできるでしょう。前述のロッドに、水中深く全体が沈むシンクレートのパワーテーパーや、ダブルハンド用のパワーテーパーを組み合わせると、ロッドの先端部分に極端な負荷がかかり破損に繋がる事があります。ペリーポーク等の持続的なアンカーを使用したキャストでは、水面からラインを剥がす際に、膨大なエネルギーを比較的簡単にロッドに溜め込むことができます。この時にロッドを破損しないよう配慮する必要があるのですが、特にロッドのパワーがゼロになった直後に急激な加重がかかるとロッドは簡単に破損する恐れがあります。 アングラーによっては前述のオーバーヘッドのシューティングヘッドに向いたロッドに、ダブルハンド用のパワーテーパーを短くカットして使用する場合が見られます。それは、ラインの重量を生かすことで、より小さい手の力と動きでロッドを曲げてキャストすることができるからです。一般的なスペイキャストをするために作られた、充分なパワーと粘りを持つロッドでシューティングスペイをする場合、パワーテーパーのダブルハンド用、シングルハンド用の両方が使用されています。ダブルハンド用を使用することで、風の中や、初心者でも安定した距離をキャストする事が出来るでしょう。この場合は13.5mからテストし、末端を徐々に短くすることをお勧めします。特にラインが長いときは、ロッドの破損を防ぐために負荷をかけすぎないように、慎重にテストする事をお勧めします。 どのようなキャストをするにせよ、ロッドとラインのマッチングは慎重に試す必要があります。 

  今回ご紹介した知識はあくまで目安ですので、全てに適合することはありません。パワーテーパーのような、カットして使用することを前提に作られたシューティングヘッドに、絶対の方法は無いのです。最良のマッチングを見つける、最も適切な方法は、あなたの釣りの好みやキャスティングについて熟知した、行きつけのガイドライン販売店のフライ担当者によく相談してみる事だと思います。時には販売店から上記でご紹介した内容と異なる説明がされる場合があるでしょう。それは経験や様々な状況を判断した上で導き出された答えと考える事が出来ます。理想のラインは何時も変わります。詳しく相談する事で、状況にあわせたパワーテーパーを見つけだし、購入する手助けとなるはずです。



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