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●開発エピソード Episode #7 CFT-80/SS, CFT-80/S, CFT-80/M へアースタッカー

 

へアースタッカーよ、お前もか。
いきなりですが、へアースタッカーも極めて使い方がシンプルなツールです。用途のシンプルさではハーフヒッチャーと双璧かもしれません。ただトントン叩いて獣毛の毛先を揃えるだけですからね・・・。
逆に言うとそれほどまでにシンプルなツールですから、ディテールをとことんつめていかないと、専用ツールとしての魅力に乏しいものとなってしまうのかも知れません。

叩く。
正直者の私は中学3年の頃だったか、当時通っていたショップに集う大人に「こうやって使うんだ」とスタッカーの使い方を教えられて以来、そのあまりにシンプルな使い方にやや呆れながらも、ずっとスタッカーを垂直方向に叩いていました。今もって最も基本的な使い方です。しかしこの叩き方にも調べてみると人によって差がありました。なかでもなるほどと思ったのは、右の写真のように斜めに叩く方法でした。非常にリラックスしていて無理がありません。もちろん毛先は揃います。

落とす。
もう一つは叩くというよりも落とすような感覚に近い形で使う方法です。実際スタッカーをこのように使う人が意外と多いようです。一般的にスタッカーは叩くというイメージが強いのかもしれませんが、特にヘアーの量が少ないときにこの"落とす"感覚が強いように思います。このときキーになるのが、スタッカーの重量です。


機能的なスタッカーとは?

このようにスタッカーの使い方には「叩く」と「落とす」の2種類があるようです
そしてこの辺りをきっかけにして考えていけば、より機能的なヘアースタッカーができるのではないかと思いました。


ボトムダンパー

ヘアースタッカーの底部には、一般的にはコルクや板ゴムが貼り付けられています。これはスタッカーを硬いものに当てた時の衝撃を和らげるためと、衝撃音を抑える消音効果を狙ったものと考えられます。多くのスタッカーは底面にしかダンパー機能となるものを取り付けていません。しかし前述のように斜めにスタッカーを使うと、スタッカーのサイド面を当てることになります。コルクはいたみやすい、いっぽう板ゴムには剥がれやすいなども欠点もあります。そこで、C&F DESIGNではモールド(型)を起こし、スタッカーの底部全体を覆うように耐久性に優れたエラストマーラバーを取り付けることにしました。エラストマーラバーは自由に硬さを調整することができますが、いくつものサンプルを試し衝撃吸収と消音効果を両立する硬さを探しました。エラストマーラバーは耐久性にも非常に優れています。

チューブ

C&F DESIGNのタイイングツールは、一つのツールにより多くの機能を持たせることをテーマの一つに掲げていました。2種類の異なった直径のチューブを1つのへアースタッカーに備えることは、すでに他社で見られるアイデアでした。しかしC&F DESIGNでは違った方法で2つのチューブを1つのスタッカーに持たせることにしました。
スタッカーの両サイドにチューブをセットし、使うときは一方を外すタイプがあります。C&F DESIGNでは重さを稼ぐためにチューブにも削り出した真鍮を使っています。この加工の自由度を利用し、2つのチューブを同一方向に重ねることにしました。こうすることでデザイン的にシンプルになるとともに、細いチューブを使う時には太いチューブを抜く必要がなくなりました。
※現在ツインチューブになっているのは、CFT-80/Sのみです。

 

ウエイト
以前別のツールの説明でも触れましたが、C&F DESIGNではツールの重さを重要視してきました。へアースタッカーにおいても同様です。 アルミやプラスティック製のへアースタッカーと比較して、叩くにせよ落とすにせよ、ある程度重量のあるスタッカーのほうが使いやすいというのが我々の実感です。使う側が積極的にスタッカーを動かすのではなく、スタッカーのほうで勝手に動いてくれるとでもいう感覚でしょうか。


エクステリア

他のツールがスティック状のものが多いのに対し、へアースタッカーはツールとしての印象がずいぶん違います。C&F DESIGNのツールはグリップ周辺にローレット加工を施すことで、統一感のある印象を持たせてきました。へアースタッカーにもローレット加工を施すことも検討しサンプルを作り検証しました。しかし、どうもしっくりこないということで最終的には現在のシリンダーラインに落ち着きました。ローレット加工とは違いますが、他のC&F DESIGNのツールと並べても違和感を感じないよう細かな調整を施しました。


ラインナップ

当初CFT-80/Sの他にもCFT-80/MとCFT-80/Lの3種類をラインナップしていました。CFT-80/L以外はツインチューブ。 その後、CFT-80/Lはディスコンとなり、CFT-80/Mはシングルチューブとなりました。そして今年、コンパラダンディアーのような毛足の短いヘアーに対応したCFT-80/SS(シングルチューブ)を発売しました。


その他

どれくらいヘアーがチューブの先から出るのがいいのか? 微妙ですよね。
異なるヘアーや用途に合わせて様々な長さのヘアーを試して決定しましたが、じつはこれが意外の難しい作業でした。ただヘアーを持ちやすいだけでなく、スタックのしやすさにも影響を及ぼします。非常に感覚的ですが、最終的には短すぎず長すぎずというところに落ち着きました。


最後に

冒頭お話ししましたが、へアースタッカーは非常にシンプルなツールです。だからといってどれも使いやすさが変わらないかというと、そういうモノでもありません。シンプルであるがゆえに、使いやすさを追求するのは簡単ではありません。
スタッカーを使うときのあの「トントントン」という音、小槌を叩く職人さんの音みたいでいいですよね。長く使うほど愛着の湧くツールだと思います。



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